~フォトグラファー keitalo~
東京でフリーランスフォトグラファーとして活動していたが平成14年3月に秋田市河辺和田に移住。
妻、小学生の子ども2人の4人家族。
そもそも移住するきっかけとなったのは、3.11の震災とその後の放射能汚染問題。
もう政府のいうことは信用できない。この子たちの健康は僕が守る。と決めたから。
この子たちの将来に取り返しのつかないことがあってはならない、と考えていろいろ調べた結果、「安心、安全」な場所として僕が選んだのは「秋田県」だった。
妻は秋田県の出身だったが、移住先の「河辺和田」はまったく縁もゆかりもないところ。
僕がこの地を選んだのは、有名な山や美しい湖があるからではない。
また、効率的な経済活動ができるからでもない。
ただ、ここには僕をほっとさせる景色があった。
視察に訪れたその日、自然の中で走り回る子どもたちを眺めながら
ここが僕の「終の棲家」だと直感的に感じた。
朝には鶯が鳴いて新しい一日の始まりを教えてくれる。そよそよと風が吹いては若葉の匂いを運び、夏の訪れを教えてくれる。
夜には満点の星が平穏でいつもどおりの一日の終わりを見守ってくれる。
なんにもないけど、ただただいつも通りの自然がそこにある。
そしていつもと変わらぬ子どもたちの元気な声。
「幸せ」とはこういうものなんだと教えられたような気がする。
忘れかけていたぬくもり
何よりここには 、昔ながらのご近所づきあいがあった。
採れたての新鮮な野菜を届けてくれたり、子どもたちを温かく見守ってくれたり・・・
僕らのことを気にかけてくれる人たちがいる。
そう。
僕が小さいころはそうだった。
お隣さんの子どもを心配し、美味しいものはおすそ分けをする。
そんなご近所さんに囲まれて安心して遊びまわったものだ。
古きよき日本の温かさが身にしみる。
懐かしさとありがたさで胸がいっぱいになる。
こんなところで育つ僕らの子どもは間違いなく幸せものだとつくづく感じる。
たくましく成長した子どもたち
放射能汚染がほとんどない、安全で美味しい野菜とお米を食べ、あぜ道を走り回って過ごしたこの数ヶ月間で、子どもたちはびっくりするほどたくましく成長した。
「自然」とはここまで子どもの五感を刺激するものなのかと驚くとともに、移住してよかったと、心から思っている。
また、こちらの小学校はほとんど宿題がなく「家庭学習」というものがある。
これは、
「家での学習は自分で考え工夫して進める」
というもの。
この学習方式がすばらしい。
怒られなければ宿題すらしなかった子どもたちが自ら進んでノートに向かう。
ものすごい自主性がめばえた。
なるほど。学力全国1位の所以はここにあったのか。。。
移住についての不安は、仕事があって生活が成り立つかどうかだった。
秋田の平均賃金は低い。
でも、妻いわく、東京にいたらマンションのローンと管理費で月に15万円以上のお金がだまっていても右から左に飛んでいく。それがなくなればほぼ食費だけじゃないかと。
健全なお金の使い道だと。
そうか。
美味しくて楽しい家族の団欒があればそれでいい。
猫のひたいほどの家庭菜園にはきゅうりとトマトが実った。
この土地の豊かさに感謝。
生きていくってこういうことなのだ。
僕は農業にも挑戦しようと思っている。
そして、安全な野菜を東京にいる子どもの友達に届けてあげたい。
それから、この街のために僕ができることを探していくつもりだ。
この街の美しい自然、、優しいおじいちゃんやおばあちゃんのポートレート。。。
撮りたいものもたくさんある。
これからの僕の人生は、これまでよりもやることがいっぱい。
そして充実しているだろう。